
英語には、単なる意味以上に場面の空気感を伝える表現があります。「raise the bar」もそのひとつ。直訳すると「バーを上げる」ですが、実際には「基準を引き上げる」「期待値を高める」という意味で使われます。
例えば、次のような場面を想像してください。新しい製品やサービスが登場し、それが業界の常識を変えるほどのクオリティを持っているとき。そんなときに使えるのがこの表現です。
This new design really raises the bar for the entire industry.
(この新しいデザインは、業界全体の基準を本当に引き上げる)
| raise (動詞) | 引き上げる |
| bar (名詞) | 棒、基準 |
| standard (名詞) | 基準、規格 |
| industry (名詞) | 業界 |
この一文は、単なる「基準を設定する」以上のニュアンスを含みます。そこには「競争を激化させる」「他者に挑戦を促す」という力強さがあります。
もちろん、もっと簡単な言い方もあります。
This new design sets a higher standard.
(この新しいデザインは、より高い基準を設定する)
こちらは誰でも理解できるシンプルな表現で、習得コストも低く、幅広い場面で使えます。ただ、ニュアンスは淡泊で、競争や挑戦のイメージはあまり伝わりません。
両者を比べると、「raise the bar」は特定の状況にぴったりはまる表現であり、使いこなせば会話や文章に深みを与えます。一方で、平易な表現は安全で万能。どちらを選ぶかは場面次第ですが、イディオムを知っていると、言葉の選択肢が広がり、より豊かなコミュニケーションが可能になります。
ちなみに、この表現の起源はスポーツにあります。ハイジャンプや棒高跳びでバーを上げることから、「基準を高める」という意味が生まれました。そんな背景を知ると、言葉の力強さが一層感じられますね。
最後に注意点として、「raise the bar」は人や物に対して使う場合、評価や競争の場面でのみ適切です。誤用すると不自然になるので気をつけましょう。
